高い雇用率設けて 企業誘致には農地や山林活用へ
◇湖南・甲賀
政府が新成長戦略として新しく打ち出した「総合特区」(注参照)。内閣府では自治体や企業などから特区のアイデアを募っていたが、湖南市はこのほど、「自立支援福祉総合特区構想」を提出した。全国の自治体などから四百五十件の提案が寄せられているが、同市の構想は、障がい者の雇用促進と財政負担軽減をミックスした新しいモデルとして全国から注目を集めている。 【石川政実】
糸賀一雄氏らが始めた近江学園(旧石部町)に代表されるように障がい者福祉の発祥の地である湖南市。同市のように先進的な施策を単独自治体が実施すると財政負担が年々、高まってくる。
そこで同市が提案した特区は、障がい者の自立・生活を支援することで、扶助費(障がい者が地域で暮らすための福祉サービス費)を中心とするトータル・コストを削減しながら、高品質の福祉サービスを両立させ、財政負担を軽減しようとする仕組み。
事業規模が五十六人以上の民間企業では、障がい者の法定雇用率が一・八%と定められているが、長引く不況の中で守られないケースが多い。このため、市の特区では、例えば障がい者雇用率を三・六%と高い基準に設定し、これをクリアーする企業については、国が固定資産税の減免、法人税の軽減などの優遇措置を制度化する。
また同市には工業団地の土地がほとんど残っていないため、企業誘致に際しては、農地や山林など調整区域の遊休の土地を活用できるよう規制緩和を求めている。
一方、同市内には三つのJR駅があるが、一日当たり五千人の乗降客があればエレベーター等が設置できるのに、市の場合は一日当たり四千五百人で設置できにくい。交通バリアフリー法を緩和してエレベーターを設置しやすくする一方、福祉バスを巡回させて福祉パーク館などで障がい者の作品を鑑賞出来るようにし、新たな観光につなげたいとしている。
なお、内閣府では、これらの提案を基に法案をとりまとめて、来年の通常国会に提案し、可決後に申請を受け付ける予定である。
同市の竹内範行・企画まちづくり課長補佐は「障がいのある人にとって働く場所が出来る、企業にとっては立地しやすく税制面でのメリットがある、市にとっては固定資産税が入ってくると、まさに三方よしの構想です」と胸をはっていた。
(注)従来の「特区」が法令の規制緩和が中心であったのとは異なり、これは税制や財政など幅広いメニューで特定地域を支援する制度で内閣府が制度設計した。






