アサヒビールの野洲駅前所有地売却問題に疑惑
◇湖南・野洲
野洲市は先月二十五日の市議会都市基盤整備特別委員会で、アサヒビールから同月八日付の文書で「十七年に交わした確認書に基づき、駅前の当社の土地を十月末までに、市が購入するなら申し出て欲しい。なければ十一月~十二月に入札説明し売却する」方針を伝えられたことを明らかにした。このため山仲善彰市長は 「検討期間を一年程度みてほしい」とアサヒビールに申し入れた。同確認書は、議会や市民に説明されていなかっただけに、“前市長時代”の疑惑が浮上している。【石川政実】
旧野洲町(現野洲市)は昭和五十八年、日本麦芽工業(現・アサヒビールモルト)の駅前の工場敷地一・五ヘクタールを取得して、駅前開発をする「合意書」を締結した。 しかし昭和六十一年に同社を買収したアサヒビールが自社開発の方針を打ち出した。
平成元年、町とアサヒビールは「(アサヒビールが)駅前を開発するにあたっては町と協議し、地元業者への配慮を行う」などの協定を締結。その後、一部が売却され民間業者のマンション(図<C>)などが建ったが、残る九千四百平方メートル(図<A>プラス<B>)の開発のめどは立っていない。 ところがこの夏、アサヒビールは十七年の確認書を盾に、売却方針を市に伝えてきた。だが、同確認書は議会や山仲市長に知らされていなかったという。
確認書は平成十七年、山崎甚右衞門・前市長とアサヒビール社長との間で交わされたもので「平成元年の協定書は効力がなくなったことを確認。市がアサヒビールの売却に関して意見がある場合、三十日前にアサヒビールに通知する。結果的にアサヒビールが売却をしても、市は異義を申し立てないものとする」とアサヒ ビールを利するだけの内容である。実は、疑惑はこれだけでない。
アサヒビールは十七年、図<C>の土地を民間企業に売却。民間企業は十八年、県にマンションの建築確認申請を行い受理される。計画では、建ぺい率が八〇%、容積率二〇〇%で、建築面積四千百平方メートルのうち、約一千五百平方メートル(D>)は市の公園用地だった。市幹部は、図<C>の土地だけでは容積率を満せないため、民間業者に配慮して議会に知ら せず市有地(<D>)を開発区域に編入するのを容認した。駅前の土地はその後、近隣商業地域から商業地域に変更され、容積率が四〇〇%となり、市の土地を除いて建築変更届けが出された。
共産党の野並享子市議は三月十二日開催の市議会で「市の公有財産管理規則に基づく使用許可手続きをとらずに、市有地を民間業者の開発区域に含めたのはなぜか」を質したところ、橋俊明・市都市建設部長は「業者から市有地を開発区域に含める承諾願いが出された。マンションに保育園が入居することを考慮し総合的判断で 承諾した」と説明。
野並議員のみならず保守系市議らも「山崎前市長を議会に参考人招致すべき。場合によっては、アサヒビールの不買運動も」との声が上がっている。なおアサヒビールは、この十二日に態度表明する見通しだ。







