30―40歳代で目立つ生活困窮者 社会不適応、繰り返す転職、借金
◇大津
寒さが厳しくなってきた今月上旬の明け方、入水自殺者の遺体が大津市内の港で上がった。岸壁に残された所持品には、SOSを発信することのなかった携帯電話。追い詰められた人は寒空のもと、自ら命を絶ちやすい。面識がないといえども、この悲しい知らせに接して、ホームレスの社会復帰を支援する「近江よまわりの会」の林弘夫代表(59)=大津市=は、最悪だった昨年の不況を脱して弛んだ気を引き締め、街のホームレスを訪ね歩いた。【高山周治】
林さんは七年前から、会友約五十人や行政と連携して、仕事の傍らボランティアでホームレスの住宅探しや病院の世話をし、働ける人には就労の後押しをしてきた。
景気は今年に入って回復傾向といわれるが、支援が必要なホームレスは絶えない。今、目立って増えるのは、三十ー四十歳代の比較的若い世代だ。派遣労働者として製造業で働き、技術をつける前に離職を繰り返している。
幼少時に家族から虐待を受けた傷で社会に適応できなくなっていたり、軽い知的障害のため他人にだまされて借金を背負わされ、返済のために借金を重ねてしまうこともあり、家族とも疎遠になっていることが多い。
林さんは十二月一日から、会友の協力を得て、社会復帰を条件にした冬季宿泊所を市内二か所で開設する。生活保護を申請して、住宅に入るまで手続きが一定期間かかるため、この間、凍死を防ぐための一時避難所だ。
宿泊所は数名を収容できる程度で規模こそ小さいが、「自分たちを受け入れてくれる宿泊施設があることをPRすることが、セーフティネットになり、生きる希望につながる」と林さんは期待する。
先日、幸いにも、家族に引き取られたホームレスがいた。林さんは「どうしても大変なら、会で引き受けますよと言ったら、家族は後ろ盾があることに安堵して連れて帰った。自立支援の活動は、家族にとっても安心感を与えているのです」とまっすぐ前を向いた。
ちなみに、県内の有効求人倍率は〇・五四倍(九月末)で、求職者二人のうち一人にしか仕事があたらない。過去最低だった昨年の〇・三六倍(昨年五ー十二月)と比べれば、緩やかに回復しているものの、依然厳しい状況にある。






