思惑が渦巻く駅前市有地
◇野洲
野洲市がJR野洲駅南口前の市有地で開設を目指す新市立「野洲市民病院」整備事業を巡り、市議会は先月29日の本会議で、病院関連事業予算案を9対9の可否同数の末、坂口哲哉議長の議長採決で否決した。15年5月、11月、今年3月、5月に続き5度目の「ノー」となり、市と反対派議員との対立は泥沼化している。 (石川政実)
新病院構想は、経営が行き詰った民間の「野洲病院」が11年に公設民営化を市に提案。市は検討委員会を開き、最終的に市民病院計画をまとめた。先月には基本設計を発表し、新病院は開院2年目で黒字化する収支見通しを示した。
これに対し最大会派「野洲政風会」などは市の財政悪化を招かないために民間の野洲病院を建て替えて、運営形態を民営か独立行政法人にすべきとし、平行線を辿っている。
新病院の建設が予定されている野洲駅前の市有地(9345平方メートル)は、もとはアサヒビール(東京都)が所有するいわく因縁のある土地だった。同社は10年10月、市に対し土地購入の意向を打診し、同月中の返答を求めた。市は1年間の検討期間を要求したため、アサヒビールはしぶしぶ同意するが、もともと民間の業者に売る腹だったとの見方が多かった。
同年12月、市は土地購入の検討に入ったが、アサヒビールから土地建物を借りていたスーパー銭湯の運営会社であった地元不動産会社の幹部が市長を訪ね、土地を市が購入しないよう申し入れた。
市議会の賛同も得た市は、土地購入の意向を固め、11年からアサヒビールと買い取り価格の交渉を重ねる。
同年7月12日、東京の大学生がインターネット掲示板「2ちゃんねる」に『野洲市長を本社前でブッ殺す』と殺害予告をした。その後、大学生は警視庁に出頭し書類送検された。
「同月29日に上京してアサヒビール本社で同社長と価格交渉を行うことになっていたが、殺人予告の時点では日程は市の担当者とアサヒビールの関係者以外は知らなかっただけに深い謎が残る。『土地を購入するな』というメッセージだと感じた」と今も神経をとがらす。結局、12年2月にアサヒビールから12億5千万円で購入した。
昨年10月に行われた野洲市長選の告示日前に、山仲市長の知人を介して元大物政治家から「駅前に病院を作らないと約束してくれるなら、出馬予定候補者を降す」という提案がなされたが、山仲氏は即座に拒否。そして選挙戦に突入する。
一方、出馬の意向を示し、チラシ配布や街頭車まで走らせていた稲垣誠亮市議も、武村展英衆院議員や元政治家などから説得され、出馬を告示直前で辞退。また、4年に収賄罪などで逮捕された元草津市長と親しい不動産コンサルタントも連日、同議員に電話をしてきたという。
不動産開発に詳しい元ゼネコン幹部(草津市)は「駅前市有地は大型商業施設を設置するには面積が足りない。民間業者が市から土地を購入して、マンションを建設する時に、容積率を市に上げてもらえばビッグビジネスになる」と指摘する。






