『染谷号』が走った軌跡
サミットで情報交換を! 全国2市3町の代表が提言
銘酒はぐくむ「森の中の貯蔵庫」
西の湖水郷を守る
CO2削減、琵琶湖の風で発電を “夢ある事業”子供エコまでに完成予定
滋賀報知新聞(ニュース)平成13年1月5日(金)第12518号
地球温暖化防止訴え全国1周
「ほんまに過酷だった」奮闘手記!
染谷・八日市市市民環境部参事の挑戦
=21日間1万キロの単独走破=
(湖東・八日市市)
八日市市役所市民環境部の染谷克己参事(53)が昨秋、地球温暖化防止を訴え、原付バイク「染谷号」で全国キャラバンを成し遂げた。
港の倉庫や役場駐車場、公園などで野宿しながら一日平均四六○キロを走り、その途中で市町村に立ち寄り、地球温暖化防止を呼びかけるメッセージを伝えた。 早い時は、午前三時に出発し、午後九時過ぎまで走り通した日もあった。
過酷な単独キャラバンへの挑戦は、途中からは自分との闘いにもなり、幾度と「もう止めて帰りたい」と思ったという。
染谷参事がこだわった地球環境問題は、人類が便利な生活ばかりを追いつづけた結果、その責任を突きつけられた産物。中でも温暖化の問題は、地球上のすべてに大きな悪影響を及ぼすことは避けられない。しかし、その原因が、人為的であるが故に防止も出来るし、対策もとれる。
原付バイク「染谷号」は、進む環境問題にライトを照らして走り続け、一人でも多くの人との出合いを通じて、解決策への実践を呼びかけた「21世紀へのメッセンジャー」でもあった。
八日市市では平成十年十二月議会において、八日市市環境基本条例が議決決定されました。
大変重要な環境への取り組みの決意です。現在、この環境基本条例に基づく具体策とするための環境基本計画を策定しています。 また、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「八日市市役所地球温暖化対策率先行動計画」を策定いたしました。
これらの中では、私達の生活を見直し、少しでも車の使用を減らす、また、電気やガス、石油の節減により地球温暖化の原因である二酸化炭素の削減を強く求めています。
そしてそのことを私自身として何ができるのか、このことをどうアピールできるのか、をいろいろい考え、ミニバイクによる全国一周キャラバンを決意しました。
地球温暖化防止を一人でも多くの人々に訴えるために最小排気量の原付バイクを早々に購入し準備を始めました。
しかし、問題は長期休暇の取得です。九月二十三日から十月十三日までの二十一日間の休暇願いを六月に思いついて提出し、認められました。
地球温暖化防止のアピールを行うこと、可能な限り自治体に立ち寄り地球温暖化防止を訴えていくこと、八日市市から全国に向けて行動を起こすことなどを条件に認めていただいたと想います。
職場には、大変な迷惑を掛けることになるなと思いつつ、密かに計画を進めました。
九月二十三日早朝六時に市役所に着いたら、すでに中村功一市長様はじめ職員課、広報の皆様が待っていただいておりました。思わず涙がポロポロ流れてしまいました。
全く未知の行動であり、不安が募っていたと思います。市長から安全祈願の「お守り」といざという時に使うようにと、署名入りの名刺をいただき、またまた感激しながら雨の中、市役所を出発しました。
全国一周の出発点として敦賀市役所に立ち寄りました。休日ではありましたが、村中生活環境課長に面会し、サインをいただき、激励の言葉を受け、いよいよ心して出発しました。
日本海沿岸を北上し、本間から函館、さらに稚内、網走まで運悪く六日間ずっと日本海特有の強風とすごい雨、冷温に見舞われ、身も心もボロボロになり「なんでこんな惨めなことやってんやろ」、「もう早く帰りたい」、「自分のバカさをしみじみ思い知らされた」。そんなことをずーと思いながら、ただバイクを走らせていました。
七日目にようやく天候が回復し晴れているのが不思議なくらいに思いました。しかし、雨の中、寒く辛かったけれども、人の人情の厚さにもふれることが出来ました。
津軽半島、夜雨の中、人家もなく道に迷う。ようやく人を見つけて道を訊く。約二十分、車で先導していただき目的地にたどり着く。本当に親切に助けられ感動しました。
北海道寿都郡にある「日本海食堂」に昼食のため寄る。定食が本当においしかった。そこでは、日本一周をこのミニバイクでやっていることを知り、大変親切にしていただいた。店を後にする時、ご主人、奥様がわざわざずーと見送っていただき感激しました。
ご主人の言葉に「ここの名物は、日本海の強風や」といっておられ、やっと心が温まったのも束の間、現実は厳しい横殴りの雨と風。稚内、宗谷岬は気温12度Cの寒さにどうしょうもない。雨風が追い打ちを掛け、思わずカイロを買い求めてしまいました。
とにかく北海道は広かった。有珠山が白煙をモクモクと噴き上げていました。道行く人々に励まされ、ガソリンスタンドの人達には支援していただき助けられました。
太平洋側は天気も良く、風も穏やかで快走でした。ただ、東北地方あたりから幻聴に悩まされ、いろんな音が聞こえてきて困ってしまいました。
芦屋市役所では、八日市市役所の仲間の激励を受け、元気を取り戻すことが出来ました。多くの人に支えられ幸せ者だ、とつくづく思いました。
四国、九州に入ってからは気温が高いためか特に脱力感が激しく、かろうじて走っていたように思います。
このころから手のしびれ、腕、胸が痛みだし、完走に不安を感じるようになりました。
鹿児島市は、三日前の桜島の大噴火で降灰し、街中が砂と埃で大変な状況でした。気温は34度Cと真夏並みで、とにかくバテバテでした。海岸近くでイルカが六頭追いかけたり、餌を食っている場面に遭い、しばらく幻想に駆られていました。
米子市では、早朝地震で目が覚め、四十分ほどの間に三回も揺れを感じ、早々に出発しました。目的地の敦賀市役所に二十一日ぶりに戻り着くことができ、感激きわまりない思いで再び訪問しました。
八日市市役所からの出迎えも受け、懐かしい庁舎に入ると思いも掛けない多くの職員さんに歓迎をいただき、ただただ、感動させられました。
二十一日におよぶ全国一周キャラバンは、私にとって決して生やさしいものでなく、厳しく過酷な毎日でしたが、地球温暖化防止を一人でも多くの人に訴えたい、現在の車中心の社会に少しでも見直しを考えて欲しい、との思いで何とか完走し、目的を果たすことが出来ました。
このことは、市長はじめ職場の多くの仲間の支えがあってのことです。同時に今回の行動で多くの人達の人情に支えらたことの結果だ、と考えています。
人の親切がこんなに温かく大切なものだということを身をもって学びました。
私の行動が多くの人に共感をいただき、関心を持ったいただいたことも事実であります。
私は、今回、皆様のお陰で得ました貴重な体験を大切にしつつ、これからの職務に活かしていきたいと思います。
訪問いたしました全国八十の市町村の皆様も大変、熱心に環境行政に取り組んでおられます。八日市市から全国に発した地球温暖化防止の行動が、実をもって功せば、と思っています。
全走行距離九、六○一キロ、ガソリン使用量一八九・八リットル、オイル四・一リットルという結果でした。
終始テント生活で快適な面もありました。皆様方にはお勧め出来ませんが、ご自身の決意で行動されるときは、何かアドバイスをさせていただけることがあるかも知れません。(記・染谷 克己)
人魚伝説いかしたまちづくり
サミットで情報交換を!
全国2市3町の代表が提言
=歴史がまちを元気にする=
(湖東・蒲生町)
サミットには、国内最古の出現記録がある地元の蒲生町のほか、日野町と橋本市、小浜市、新潟県大潟町の2市三町の代表者と有識者の7人が出席、活発な議論を展開した。敬称略
コーディネーター
胡口靖夫氏
神奈川県
公立高教諭

コーディネーター
胡口靖夫氏
神奈川県
公立高教諭
岩橋 歴史文化の保護・伝承によって、市民の目が郷土へ向けられ、ひいては心の活性化につながる。イベントや講演のほかに、人魚に関係する物語をオペラ化して気運を高めた。また一帯は、歴史街道にも指定されている。
青木 大潟町では観光を促進するため、伝説のもとになっている海岸に記念碑建てたり、特産品販売や保養を目的にした健康施設「人魚館」を整備した。

西尾清順氏
小浜市
商工観光課
西尾清順氏
小浜市
商工観光課
佐野 住民が歴史に誇りを持つことで、まちが元気になる。佐賀県の弥生時代の集落跡・吉野ケ里遺跡では、高いやぐらを復元したり、展示館を設けている。吉野ケ里饅頭というおみやげも売られて、地元が大変元気になっている。
胡口 住民パワーといえば、八日市文芸会館では先日、日野町小野の人魚伝説をもとにしたミュージカルが公演された。アマチュアの手作りで、非常に完成度が高く感銘を受けた。
増田與三次氏
日野町
小野氏子総代

増田與三次氏
日野町
小野氏子総代
胡口 まちおこしの今後の抱負については何か。

松尾徹裕氏
願成寺
副住職
松尾徹裕氏
願成寺
副住職
岩橋哲也氏
橋本市
学文字苅萱堂
保存会

岩橋哲也氏
橋本市
学文字苅萱堂
保存会

青木俊秀氏
大潟町
文化財
調査審議会
青木俊秀氏
大潟町
文化財
調査審議会
西尾 今は財政が厳しくハード整備は難しいので、今後は人魚などの伝説を共通項にして、ソフト面のまちづくりについて情報交換する機会も必要だ。
佐野允彦氏
朝日新聞
記者

人魚像の移り変わり・基調報告 胡口靖夫氏
日本の人魚伝説は、日本書紀推古天皇二十七年条(六一九年)に見られる、蒲生河(佐久良川)と難波の堀江に出現した人魚に始まる。当初のイメージは不明確だったが、平安時代前期に魚身人面のイメージが出来上がった。
佐野允彦氏
朝日新聞
記者
そして、それまで人魚は人間にとって災い(蒲生、日野町)をもたらすものとされてきたが、平安時代後期になると長寿(小浜市)をもたらすものと考えられるようになった。時代を下るにつれて伝説は広がり、いろいろなパターンの民話(新潟県大潟町、橋本市)に影響を与えていった。
古今東西を通じて必ずしも人魚のイメージは一定しないが、それぞれロマンを求めて人魚のイメージを描いてほしい。
【蒲生町】日本書紀の推古二十七年(六一九年)条に「蒲生河(佐久良川の同町寺村付近)に物有り。その形人の如し」と、国内最古の出現として記録される。小姓に化けた人魚が尼僧に仕えているところ、寺侍に捕まえられてミイラにされた伝説が残る。人魚は現在、同町川合の願成寺で供養されている。
【日野町】日本書紀の推古二十七年条に記録された人魚のうち一匹が、佐久良川をさかのぼってきたところを、聖徳太子が災いをもたらすものとして同町小野付近で捕えたと伝えられる。人魚を埋めたとされる場所には、人魚塚が建てられている。昨秋は、東近江の住民によってミュージカル化された。
【小浜市】人魚の肉を食べた若狭の長者の娘が、八百年の間美しいまま長生きした不老長寿の伝説が残る。尼になった娘は、国々をめぐって人助けをし、晩年になってふるさとの洞窟に入って、生涯を終えたという。同市はサミットの開催、人魚をテーマにした市街地整備を行なっている。
【橋本市】高野山の僧が平安時代末期、全国に広めたといわれる「石童丸物語」の主人公、千里御前が絶えず傍らに置いて信仰していたのが、蒲生町佐久良川で捕まえられた人魚のミイラのうちの一体と伝えられる。ミイラは現在、同市の寺院・学文路苅萱堂(かむろかるかまどう)で祭られている。
【新潟県大潟町】海岸にある常夜灯の番人をしていた若者のもとへ毎晩、対岸の佐渡ケ島から通ってくる不思議な女がいた。男が灯をつけるのを休んでしまった翌日、海岸には女の死体が揚がっていた。深く後悔した男は、女の後を追って海へ身を投げてしまったという。童話「人魚と赤いろうそく」のもとになった。
最高の品質追及へ森林再生活動
銘酒はぐくむ「森の中の貯蔵庫」
=サントリー近江エージングセラー=
(湖東・八日市市)
貯蔵庫周辺に植えられている苗木
自然のめぐみの中でやさしく熟成されたおいしいウイスキーづくりをめざして、八日市市大森町の布引丘陵にあるサントリー近江エージングセラーでは、事業所一帯の森林再生活動に取り組んでいる。
愛情のこもった森に抱かれ、樽(たる)の中で静かな眠りにつくウイスキー。何年か後には、森のエネルギーをたっぷり吸収して芳純に育った最高のウイスキーが目を覚まし、心地よい香りと湧き出る音でグラスにそそがれると、手にした私たちののどと心をまろやかに潤すとともに、至福の時を演出してくれることだろう。
昭和四十六年、アカマツとコナラを主体とする林や豊かな緑に包まれたきれいな空気と、鈴鹿の山々から流れ出る清らかで豊かな水と母なる湖“琵琶湖”がもたらす適度な湿度、高速道路網の発達にともなう物流の利便性を求めて、第一セラー開設。西京・山崎の地で産声をあげたウイスキーが、ここ八日市の地でおいしく育つための深い眠りに就いた。
ところが、やがて自慢のアカマツ林もマツ枯れの被害を受け、丘陵一帯の植生は一変、森林再生を余儀なくされることに。そこで、県森林センターや日野町森林組合、永源寺町森林組合の指導を受け、東京農大の協力で長期プラン「森林再生計画」を作成した。
計画のビジョンは、「酒の文化、祭りの文化、郷土の文化を守る樹木で再生された“森の中の貯蔵庫”でウイスキー原酒を熟成させる」というもの。そして、目標を、「布引丘陵のすそに広がるヒノキ林の延長線上(敷地境界)には、景観を損なわないヒノキを補植・再生した“郷土の森”を造る」「ヤセ地の尾根筋に建てられた貯蔵庫周辺には自生した乾燥に強いアカマツ林を再生して開発する前の“マツタケの生える森”に戻す」「第二セラーの谷間には樽材に使われるコナラとヨーロピアンオークを育て“ウイスキーの森”として、上流で水源を守る『お沢さん』の周辺にはスギ・ヒノキを育て“鎮守の森”を造る」の三つの森づくりに置いた。そして、最終的にめざすのは、生態系の再生と保護による「生態系とウイスキー熟成の共生」だ。
平成八年、森林再生活動は枯松一万五千本の伐採から始まった。翌九年には間伐、ヒノキの植林、アカマツの補植も開始され、森の土が陽の光や風にさらされるようになる。十一年ごろからはこれらの活動の効果が顕著に出はじめ、森の危機的状態脱出に成功。さらに、間伐跡地からは今まで土の中で眠っていた自生の植物たちも日の目を見ることができるまでになり、第一次の間伐作業を終了した。九年からの三年間で、四十二ヘクタールの間伐、ヒノキ六千二百九十本、アカマツ七百本、アラガシ三百十本、スギ百本、クエルクス属百本を補植した。そして昨年、順調に育っている自生苗や開業当初から残る樹木のリストをつくり、保護のための添木やプレートの設置作業を行った。
五年の取り組みでそれぞれの苗もぐんぐん大きくなり、森の様子も少しずつ変わってきた。今まで見かけなかった野鳥が住みつき、澄みわたったホトトギスの鳴声も聞くことができるようになった。また、冬イチゴがたくさん実をつけたことで、シカなどからヒノキの芽を守ることもでき、森の生態系が目に見えて改善され、取り組みの成果が表れてきている。
最田優所長は「美しい森にはきれいな水が必要。森の中の川をメダカやホタルが住み、ワサビができる川に。そして、樽材になる種類の木を育てて植物園の様なものもできたら」と、さらに夢を広げる。
森に包まれた貯蔵庫は、温度や湿度を調節してくれる天然のクーラー。森のエネルギーをいっぱい吸収した琥珀色の美酒の誕生が待ち遠しい。
ラムサール・サイトをめざせ!
西の湖水郷を守る
=官民組織が活動活発化=
(湖東・近江八幡市)
ラムサールサイトの登録をめざす西の湖
(建設省撮影)
一昨年の十月、近江八幡市で「第五回全国水の郷サミット」が開催されて以来それまで取り組まれていた水環境保全への市民運動がさらに活発化し、昨年には、県立大学の研究グループを交えた「津田内湖干拓地の内湖復元を議論する学習セミナー」や 西の湖の自然環境を守る民間組織「東近江水環境自治協議会」、近江八幡JCが軸となった「津田内湖を考える会」が相次いで設立された。
また、ことし滋賀県で開催される第九回世界湖沼会議にあわせた「リビングレイクス国際会議」が、国内で初めて同市で開催されるなど、西の湖とその周辺地域の水環境に官民の枠を越えた関心が集中した。
こうした動きに後押しされ、県内最大のヨシ原が広がる西の湖をラムサール条約の湿地登録をめざした動きも出てきた。水郷の自然を守る新しい動きを追ってみた。
西の湖をはじめとする水郷地帯の水環境保全対策に取り組む近江八幡市と安土町の行政組織「長命寺湾・西の湖環境保全協議会」が設立されたのは平成九年のこと。
翌十年には、干拓後、稲作に適さず効果的な土地利用がない畑地となっている津田内湖干拓地を元の内湖の姿に復元できないかの議論が高まり、県立大学環境科学部の研究グループが、この議論に具体性を探る調査研究を進め、地元住民らの意見にも耳を傾けた「公開ヒアリング」を開催。同協議会もグループの活動を後方支援し、イタリアの先進地から研究者を招いた学習セミナーを開催するまで議論は発展した。
この活動とほぼ同時に、西の湖の水質に関わる二市七町の水域住民の自主的参加でつくる「東近江水環境自治協議会」が結成され、新たな住民組織が立ち上がった。
これは、県が策定した「マザーレイク21-琵琶湖総合整備計画」で提唱している市民レベルの保全活動に呼応した組織で、自分たちの区域の水環境の浄化と保全対策を自主的に推進する活動グループ。現在、個人や事業所など二百人の会員を集め「ヨシを考える会」や「水鳥を考える会」など十七の下部グループで構成されている。
こうした、環境保全に向けた地元の民間組織の基盤が形成されていく中で、昨年十一月には全国で初めて第九回世界湖沼会議にあわせたプレ湖沼会議「第五回リビングレイクス国際会議」が近江八幡市で四日間にわたり開催され、世界中の研究者やNGO代表が、各国が共通に抱えている水環境問題について議論を深めた。
十月には長命寺湾・西の湖環境保全協議会が、西の湖周辺の住民を対象とした「環境自治推進リーダー養成講座」を開講して、活動の輪をさらに自治会レベルまで広げた。講座は今年二月まで毎月一回、学識者の講義に耳を傾け、見識を深める内容で、参加有料の環境講座に両市町から四十二人の申込みがあった。
水環境保全への取り組みが地元自治会で進められるようになれば、行政の旗振りだけで終わらず、その効果が目に見えて具体的に現れてくるとして、リーダーの役割と今後の取り組みに期待が寄せられている。
そうした中で、西の湖に隣接する北之庄町で「北之庄沢を守る会」の設立総会が十二月二十三日、同町公民館で開かれた。
かつてたくさん棲んでいたモロコやタナゴなど琵琶湖固有の小魚を蘇らせ、減っていくヨシ地を守って美しい景観や水環境が自慢だった北之庄沢の水環境を保全していく自治会ぐるみの新しい活動が生まれてきた。
先のリビングレイクス国際会議では、外国の参加者からラムサール条約に登録された琵琶湖の自然環境を守るNGOやNPOが地元に育っていないという指摘があったが、西の湖周辺では、住民の運動が広がっているのは確かだ。その中で、21世紀を迎えた今、西の湖をラムサール条約への登録湿地にするために地域住民に何が出来るのか、二○○一年はその課題に取り組むスタートの年となる。
地球に優しい「新エネルギー」
CO2削減、琵琶湖の風で発電を
“夢ある事業”子供エコまでに完成予定
=余剰電力は関電へ売電=
(湖南・草津市)
直径70メートルの羽根が回転する総高95メートルの風力発電機。写真は、草津市が設置するものと同型の「ファーランダーMD70」(ドイツ北部)
これは、“草津らしさを出す事業”として庁内公募の案が採用されたもので、烏丸半島の水生植物公園みずの森駐車場で基礎工事が行われている。完成予定の三月末には、琵琶湖の風を受けて回転する壮大な姿が見られそうだ。
風力発電機は、高さ六十メートルの支柱に直径七十メートルの三枚羽根が付く総高九十五メートルの大きさで、最大出力はドイツ北部に設置されている「ファーランダーMD70」と同型の千五百キロワット。これは、北海道にある最大出力千六百五十キロワットに次ぐ国内二番目の発電量で、国内では同型はこれが始めてとなる。
年間発電量は三百二十世帯の年間電気使用料に匹敵する千二百メガ・ワット時が見込まれており、発電した電力は水生植物公園みずの森に供給。これによって約二千万円の節約につながるほか、約四百六十トンの二酸化炭素が削減できるとしている。なお、余剰電力は関西電力に売電される。
風力発電装置の費用は約二億二千万円、関西電力に余剰電力を売電するための地圧安定装置等を含めると総事業費は約三億一千万円となるが、通産省の外郭団体「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」から、風力発電導入促進事業として四五%の約一億四千万円が補助される。
なお、補助対象からは外れるが、風力や発電量を表示する啓発用掲示板(三百九十万円)も設けられる予定。
採用された市民経済部環境課では「環境に優しく、夢がある事業として提案した。設置場所は環境庁実施の風力実測値から出したもので、みずの森で回る壮大な姿が楽しみです」と、三月二十四、二十五日開催予定の「全国子どもエコクラブ」までに完成させたいとしている。






